テーマ:「学び」の近世-近代
趣旨:
日本教育史研究において近世から近代への移行は、「学び」から「教え」への変化と説明される。しかしもちろん、近代以降に「学び」が無くなったわけではない。「子どもの〈模倣する力〉こそ、人間形成の決定的な要因」と指摘する近世教育史研究の成果を踏まえれば、むしろ、模倣と習熟による「学び」の文化を継承した意図的・無意図的な「学び」こそが、それぞれの自己を形成してきたと考えられる。にもかかわらず、近代以降の「学び」に関する歴史的な検討が意識的かつ十分に蓄積されているとは言い難い。
そこで、「近代以降の人々は、いつ、なぜ、何から、何を、どう学び、生きたのか」という問いを、近代教育史研究者に投げかけてみたい。そして、それらの報告に対して、近世教育史研究の立場からコメントを得ることによって、近代以降の圧倒的な「教え」の前で「学び」はどのように(形を変えて、もしくは変えずに)継承されたのか(されなかったのか)を検討したい。
以上の趣旨の下、本セミナーでは、まずは対象時期を長めに設定して「学び-教え」の多様な局面を掘り起こすことを目指す。具体的には、「学び」の文化が色濃く残る幕末維新期から、「江戸」が日本の近代教育の発展を支える文化として再発見・再評価されるとともに、児童中心主義の「大正自由教育」が広がり、かつ義務教育就学が国民の間で一般化した一九二〇~三〇年代までを想定している。
これまで主に「教え」を中心に描かれてきた近代教育史像を「学び」を中心に置いて再構成することによって、「学び」の可能性を問い直すとともに、「近代」の議論に「前近代」の視点を入れ込んでいくことによって、「学び」を軸とした新しい教育史像を提示できるのかどうか、参加者全員で議論してみたい。
司 会 山本 正身(慶應義塾大学)
報 告 者
池田 雅則(兵庫県立大学)
菅原 亮芳(高崎商科大学)
浅井 幸子(東京大学)
安藤 耕己(山形大学)
関口 敏美(大谷大学)
コメンテーター
橋本 昭彦(国立教育政策研究所)
沖田 行司(同志社大学)
日 時
2014年8月26日(火)午後1時半~5時半/27日(水)午前9時~12時半
場 所 同志社大学今出川キャンパス(京都市上京区今出川通り烏丸東入る)
会 場 寧静館5階会議室
参 加 費 500円(資料代など)
※詳細については、『日本教育史往来』210号(6月末日刊行予定)にてお知らせいたします。
※1日目の夜に、同志社大学寒梅館7階 Second House will にて、懇親会を開催いたします。会費は当日お知らせいたします。
※宿泊は各自で手配をお願いいたします。
※お問い合わせ先 宮坂朋幸 電子メール miyasaka@daishodai.ac.jp(半角に直して下さい)