2022年度

テ ― マ 教育のグローバル・ヒストリー

趣  旨   
 近年、国や地域の枠にとらわれない、事柄を地球規模の人間活動の相互連関という形で理解しようという新たな世界史像の構築が試みられています。「グローバル・ヒストリー」と表現されるこうした新しい歴史研究・歴史叙述のあり方は、歴史学を中心とした学術界のみならず、日本の中学校や高校における今後の歴史教育の大きな趨勢となっていくことも予想されます。そうした新しい歴史学/歴史教育の動向を踏まえた、新しい歴史叙述のあり方を考えることは、(日本)教育史研究のあり方を大いに活性化してくれるように思います。
  さて、視線を現在の世界情勢に向けてみます。そこにあるのは、最初の感染者の確認からすでに二年を経過した、新型コロナウイルス感染症の世界的なパンデミックです。この歴史的な感染症は、まさしくグローバルな規模で、人間の生活のあり方、ものの見方・感じ方・考え方を大きく揺さぶっているように思います。そしてそんな人類史的な危機のさなかにありながら、二〇二二年に入ってわたしたちが目の当たりにしたのは、ロシアのウクライナ侵攻という目を疑うような現実でした。疫病、そして戦争――いずれも、教育を主題として研究をおこなうわたしたちにとって、避けては通れない重大事です。こうした地球規模で展開する危機的な事象を、グローバルかつ歴史的に読み解く術が欲しい――、切実にそう思います。
  こうした学問的また現代的な問題関心を背景に、今回の日本教育史研究会サマーセミナーでは、「教育のグローバル・ヒストリー」と題して、教育史研究を改めてグローバルな視点でとらえ直すことを企図しています。教育史研究をグローバルな視点でとらえ直すとは、つまるところなにをどうすることなのか、そうした「教育のグローバル・ヒストリー」は、どんな新しい、魅力的な教育史叙述をもたらすのか、これは必ずしも自明ではありません。今回の企画は、こうした新しい視座の可能性について、報告者、そして参加者のみなさんとともに考えたいと思います。
  登壇者には、国や地域の枠にとらわれない教育史叙述を追求する教育史研究者、グローバル・ヒストリーを掲げ優れた歴史研究の成果を生み出している歴史学者を迎えました。報告者の研究報告を通じて、グローバル・ヒストリーの意義や可能性を確認するとともに、改めて(日本)教育史研究、また叙述のあり方についての新しい可能性を考えたいと思います。みなさまふるってご参加ください。

日時  2022年8月28日(日)13時~16時      

開催方法  zoomによるオンライン開催です。
      →終了しました。

報告者   北村厚(神戸学院大学) 辻*直人(和光大学) 永田和寛(愛知県立高等学校教員)(*辻は一点しんにょう)

参加費 無料

*報告内容は事前収録・事前配信となりますので、ご覧の上でご参加ください。
*事前配信動画視聴サイトのURLやパスワード、当日のZoomのURLについては、後日改めて連絡いたします。