2025年度

テーマ   歴史を叙述することから浮かびあがる共同性のかたち

日時  2025年9月6日(土)15時~17時、7日(日)10時~16時半
*6日(土)夜に懇親会を行います(会場は松本駅周辺を予定)

会場  信州大学 松本キャンパス 経法学部第一講義室 (長野県松本市朝日三丁目一―一)

趣旨 過去を検証し叙述する営みが、集合的な記憶や意識、ひいては共同性の形成といかに関わるのか。ここで共同性とは、家や家族、村落や地域、あるいは国民国家などさまざまなかたちを想定しうる概念を指します。いずれであれ、共同性の由来――我々はなぜ、何を、いかにして共同しているのか、といった――を伝える歴史が物語として共有され、紐帯としての役割を果たすことが少なくないでしょう。
一方で、共同性にかんする歴史が叙述されるとき、そこには必然的に不在化の作用が生じることになります。すなわち、内容を改変したり、事実そのものをなかったことにしたりすることで、物語の合理性や正当性を確保するような作用です。これに対して、何が書き換えられ、また忘却されてきたのかを問う。対象から外されてきた人物なり出来事なりを掘り起こし、叙述の視点を複数化することで、不在を可視化する。歴史のなかの複数性への着眼は、既存の叙述とそれに支えられた共同性のあり方をとらえ返す契機をはらんでいるように思われます。
本セミナーでは、歴史の叙述をうながす契機や、さらに叙述の営みが共同性を立ち上げる機序に焦点を合わせます。かかる課題設定は、研究者として歴史に向き合う側の立場性を問うものでもあります。歴史研究の成果について書いたり語ったりすることもまた、ひとつの叙述にほかならないはずだからです。とすれば歴史学徒たる私(たち)は、こうした事態とどのように対峙しうるのでしょうか。共同性の物語とは一線を画するかのように一方的に批判するのか、あるいは逆に既存の物語に迎合するのか。企画者としては、そのいずれでもないかたちで、対象と切り結ぶ方途を探りたいと考えています。

報 告 者
 工藤航平(国立歴史民俗博物館)
 松田ヒロ子(神戸学院大学)
 権安理(立教大学)

コメンテーター
 清水亮(慶應義塾大学)

司 会   塩原佳典(信州大学)

参 加 費  1,000円(資料代など、二日間共通)
事前申込 セミナーおよび懇親会(六日夜)へのご参加につきまして、QRコードもしくはURLよりお申込みください。
    URL:https://forms.gle/WY5MfgPNpYcYpom39
    締切日:8月18日(月)(人数確定のため事前申込にご協力ください)

*お問い合わせ先 塩原佳典 shioharakotobuki@gmail.com